日本大学工学部建築学科 RC構造・材料研究室 サンジェイ・パリーク研究室

研究室紹介

ABOUT LAB

RC構造の実践的な耐震技術の開発
および耐久性改善

鉄筋コンクリート(RC)構造建物は耐力と耐久力が要求されます。RC構造建物には地震力に対応できる強度と靭性が必要とされます。また、阪神大震災後、既存の建物について耐震診断と改修が行われていく中で、どう補強していくかが課題となっており、地震力を想定した柱・はりの接合部の弾塑性挙動に関する研究を進めております。加えて、各種連続繊維補強材(CFRP)を用いた補強や粘弾性物質材を利用した制震部材の研究など、実践的な幅広い耐震技術の開発に取り組んでいます。さらに、RC構造物の耐久性改善を目的とした新素材の研究開発を行っています。


研究テーマ

01

ネットワークを用いた
自己修復型コンクリート

鉄筋コンクリート構造物における弱点とはいわゆるひび割れであり、地震などの外力によりひび割れが入るとコンクリート自体の耐久力が低下するだけでなく、そこから水分や塩分が侵入し、内部の鉄筋が腐食するなどして構造自体の崩壊につながります。そこで本研究では、コンクリート内部にあらかじめ直径6mmのネットワークを配置し、一液性エポキシ樹脂等の補修剤を充填することでひび割れ発生個所を補修剤が塞ぎ、コンクリートの耐久力を回復させ、内部の鉄筋の腐食を防止します。


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研究テーマ

02

バクテリアを用いた
自己治癒コンクリート

コンクリートのひび割れ補修方法については様々な研究・開発が進められています。そのなかでも鉄筋コンクリート(RC)構造・材料研究室のサンジェイ パリーク教授はオランダのデルフト工科大学と連携して、コンクリートのひび割れの治癒をバクテリアに期待する手法の研究に取り組んでいます。バクテリアの活動でひび割れが治癒することにより、コンクリートの長寿命化・メンテナンスフリー化、維持管理コストを削減することを目標としています。


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研究テーマ

03

フライアッシュを用いた
無焼成レンガの開発

●無焼成レンガ製造研究

無焼成レンガとは,焼かずに作製するレンガのことです。材料の44%が火力発電所などで石炭を燃やした後にできるフライアッシュ(石炭灰)を使って作製しています。そのため,メリットとして,安価であり,材料の入手が容易であり,CO₂の排出量が少ないことが挙げられます。廃棄物の有効利用で,環境保全に貢献しています。


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研究テーマ

04

超弾性合金を用いた
RC構造への利用

超弾性合金とは、変形させても一定範囲内であれば元の形状に戻る金属です。
一般的な鉄筋は、限界を迎えると元の形状に戻らなくなり、コンクリートひび割れ発生後のひび割れ幅の拡張を招きます。
そのため、超弾性合金を用いることでひび割れ幅の拡張が軽減されます。

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研究テーマ

05

PCMを用いた
泡コンクリートについて

世界では、エネルギー消費量の増加が問題視されています。これは、生活水準の向上、特に冷暖房によるエネルギー消費が問題です。相変化材料(PCM)は太陽熱エネルギーを利用することで、冷暖房エネルギーを削減することができます。この素材は、外気温が上昇する日中に溶けて熱を吸収することができます。エネルギーが吸収されることにより温度は一定に保たれます。そして、気温が下がると固体に戻りエネルギーをすべてに外に放出します。PCMコンクリートは、室内の温度変化を抑え、建物の省エネルギー化や地球温暖化の改善に貢献することが期待されています。

通水試験を実施


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研究テーマ

06

ジオポリマーコンクリートの環境的利点と物性

近年、地球温暖化に際してCO₂の排出量が国際的に問題視されています。現在の建築分野において一般的に用いられているコンクリートの材料であるセメントは精製時に大量のCO₂を排出します。しかし、ジオポリマーコンクリート生産時にはセメントを用いることが無く、CO₂の排出量を削減することが可能です。


  • ジオポリマーコンクリートを構成する主な材料

  • コンクリート1m³あたりのCO₂排出量

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研究テーマ

07

環境負荷低減を目的とした
ジオポリマー硬化体の開発

ジオポリマーモルタルは普通のモルタルと比較して圧縮強度・耐酸性・耐火性に優れています。 圧縮強度においては、材料の調合次第で普通コンクリ―トの約3倍の圧縮強度を得ることが可能です。 耐酸性では、塩酸に最長56日浸漬させる実験を行った結果、ジオポリマーモルタルは酸によって浸食される割合が少ないことが分かりました。 耐火性の面では、セメントモルタルとジオポリマーモルタルを800℃で45分間加熱する実験を行いました。セメントモルタルにはひび割れが生じているのに対し、ジオポリマーモルタルではひび割れが生じていないことが分かります。耐酸性・耐火性により構造物の長寿命化が期待できます。

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研究テーマ

08

ロハスな建築材料と技術

●建築材料の燃焼実験

さまざまな建築資材を実際に燃焼させて、燃えやすさや発生する有害物質の量などを計測し、材料の退化性能を調べる。

●無焼成レンガ製造研究

火力発電所などで石炭を燃やした後にできるフライアッシュ(石炭灰)を使って建築用のブロックや無焼成レンガを造る研究。廃棄物の再利用で研究保全に貢献する。

●補強技術実験

タイルの目地から鋼製のピンを斜めに挿入して補強。赤レンガで造られた歴史的建造物の外見を損なうことなく補強するための技術だ。


学べる研究室

建築学科 鉄筋コンクリート(RC)構造・材料研究室

RC構造物は、建築の中でも最も関心の高い分野のひとつ。阪神淡路大震災後、既存の建物について耐震診断と回収が行われていく中で、どう補強していくかが課題となっています。当研究室では、様々な部材実験や解析を通し、実践的な耐震技術を学ぶとともに、環境負荷軽減を考慮した最新建築材料の研究・開発を行っています。

年度別 研究実績

RESEARCH
RESULTS

教員とメンバーによる年度別研究

令和2年度(2020年度)

卒業研究

バクテリアを用いた自己治癒モルタルの最適な調合設計に関する基礎的研究
-通水試験による比較検討―

村越文大

卒業研究

インドにおけるCO₂削減を目的とした無焼成レンガ作製方法の検討
-養生条件及び成型圧の違いが圧縮強度に及ぼす影響-

荒井虎太郎

卒業研究

ネパール・ゴルカ地震で被災した学校建築における滑り免震機構の開発
-免震スライディング試験による静的実験及び動的実験-

菅野総一朗

卒業研究

脱炭素社会の実現を目指した多目的複合材料の開発の検討
-Carbon Capture Concrete(CCC)の開発-

菅野雄冬

卒業研究

繊維補強ジオポリマーモルタルの耐凍害性に関する基礎的実験

崎山颯斗

卒業研究

INDIA GREEN WALL MEGA PROJECT
-故人を想う植樹のオアシス-

佐藤雄太

卒業研究

建築用サンドイッチパネルの部分的欠損状態における燃焼状態の検討
-コーンカロリーメータによる水平及び垂直方向の発熱性試験-

島倉拓士

卒業研究

Phase Change Material(PCM)を含む気泡コンクリートの熱エネルギー貯蔵特性

鈴木悠介

卒業研究

極低温における建築材料の強度性状の検討
-超弾性合金及びGPモルタルの材料強度試験-

吉成秀平

修士論文

フライアッシュを使用した環境配慮型ジオポリマーの建設材料としての適用に関する研究

Sunjidmaa SAMBUUNYAM

修士論文

相変化材料(PCM)混合フライアッシュフォームコンクリートによるエネルギー効率に優れた建築材料の開発

BAT-ERDENE PUREV-ERDENE

令和元年度(2019年度)

卒業研究

インドにおけるCO₂削減を目的とした無焼成レンガ作製方法の検討
-細骨材に焼却灰を用いた配合検討及び養生条件の違いが圧縮強度に及ぼす影響-

石山慧

卒業研究

正負交番繰返し載荷を受ける超弾性合金主筋を用いたRC部材の構造特性
-ひび割れ図及び破壊性状-

伊藤蓮

卒業研究

高置換率フライアッシユ混合モルタルの強度性状に関する実験的研究
-オートクレーブ養生及び繊維補強による影響-

上村僚太

卒業研究

人工的に欠陥を導入したコンクリートのX線CTを用いた非破壊検査による検証

大脇隼太

卒業研究

バクテリアを用いた自己治癒モルタルに関する基礎的研究
-セメント種類、バクテリア量による比較検討-

川崎浩長

卒業研究

常温養生したジオポリマーモルタルの硬化時間及び強度に関する実験的研究

國井弘樹

卒業研究

ネパール・ゴルカ地震で被災した学校建築の復旧技術に関する開発及び研究
-スライディング免震実験-

小井土博哉

卒業研究

耐火被覆・耐震補強を付与した木質コンポジット部材の開発
-バサルト繊維及びジオポリマーで補強した木質梁の静的曲げ載荷実験-

根本崇裕

卒業研究

繊維補強ジオポリマーモルタルの耐凍害性に関する基礎的研究

箭内翔也

平成30年度(2018年度)

卒業研究

環境配慮型新規材料の調合設計
-ジオポリマーペーストの調合設計による強度特性-

川俣昂

卒業研究

中性化したコンクリート内部へのケイ酸塩系含浸材の注入による再アルカリ化に関する研究

佐藤大希

卒業研究

サンドイッチパネルの屋外実験による実大規模及び中規模試験の比較検討

眞尾駿太郎

卒業研究

繊維補強した超高強度コンクリートの高温下における圧縮強度に関する実験的研究
-コンクリートの含水率及び加熱温度の影響-

吉村光平

卒業研究

バクテリアによるひび割れの自己治癒機能を有するセルロース繊維混入モルタルの研究
-水、N培地及びバクテリア混入N培地による比較検討-

渡邊一輝

平成29年度(2017年度)

卒業研究

ジオポリマー硬化体の高温時の強度特性に関する研究

飽戸健太

卒業研究

環境配慮型新規補修材料の物性評価
-ジオポリマーペーストの凝結試験及び常温硬化性状-

阿曽将太

卒業研究

ジオポリマーモルタルのコンクリート及び鉄筋に対する接着性

池田貴行

卒業研究

建築用サンドイッチパネルの部分的欠損状態における燃焼性状の検討
-鉛直型コーンカロリーメータ発熱性試験-

小林大貴

卒業研究

バサルト連続繊維シート補強重ね梁の曲げ耐力・剛性改善に関する研究

櫻井洋平

卒業研究

含水率の違いによるハイブリッド繊維補強した超高強度モルタルの爆裂性状の変化に関する研究

佐々木瑛太

卒業研究

超弾性合金及び繊維補強コンクリートを用いた自己復元型RC梁の構造性能に関する研究

古川敦士

卒業研究

相違温度条件におけるシラン系含浸材のコンクリート内部への浸透性状に関する研究

森川策也

卒業研究

バクテリアによるひび割れの自己治癒機能を有するセルロース繊維混入モルタルの基礎的研究

涌井凛太郎

平成28年度(2016年度)

卒業研究

建築用サンドイッチパネルの部分的欠損状態における防火性能への影響
-コーンカロリーメータによる発熱性試験-

小畑有莉

卒業研究

バサルト繊維の混入率が超高強度モルタルの強度性状に及ぼす影響

黄志峰

卒業研究

ハイブリッド繊維補強した超高強度コンクリートの爆裂性状に関する研究

木暮達之

卒業研究

ジオポリマーモルタルのγ線遮蔽性能及び損傷による遮蔽性能劣化に関する 基礎研究

高梨智在

卒業研究

多様な温度環境下におけるシラン系含浸材のコンクリート内部への浸透性状に関する研究

増川晃

修士論文

フライアッシュ及び鉄鋼スラグを多量利用したジオポリマーモルタルの基礎性状及び耐薬品性の検討

五十嵐祐太

修士論文

自動自己修復システム及び超弾性合金を用いた自己修復RC構造物の開発

上野拓

修士論文

バサルト繊維を用いた超高強度コンクリートの基礎性状及び高温加熱時における 爆裂性状に関する実験的研究

高橋広大

平成27年度(2015年度)

卒業研究

遮蔽コンクリートの損傷による性能劣化の定量化に関する基礎的研究

猪狩潤

卒業研究

建築用サンドイッチパネルの部分的欠損状態における燃焼状態の検討
-コーンカロリーメータによる発熱性試験-

関根龍一

卒業研究

超弾性合金を用いたRC梁の繰り返し載荷・自己修復実験及び解析による 変形回復の検討

菱沼匠

修士論文

RC構造物の長寿命化を目的とした自己修復コンクリートの開発

尾形雅人