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地籍字限絵図と地籍集成図による土地利用情況図


 『明治十五年地籍字限絵図』と『昭和三十三年地籍集成図』を基に平成二年
現在の土地利用情況を比較すると、二本松が如何に街道依存型の集落であった
かが見て取れる。且ては、短冊形屋敷地の後背部には必ずといっていいほど耕
作地を有していたが、当然のことといっていいほど現在ではその姿は見られな
い。
 さらに大きく町並み変えているのは鉄道の敷設と道路の変更である。明治二
十年(1887)の二本松駅開業にともない、街の直ぐ南を街道沿いに走る鉄道が
街の南進を阻み、屋敷地裏の耕作地を消滅させる原因ともなる。また、本町か
ら直線的に西進する直線的道路の周辺の区画割はまったく異質の空間を造り出
している。多少の相違はあるものの、明治期に殆ど耕地と化した郭内も然程道
路に依存した敷地割にはなっていない。
 こうしたことはコミュニティーの形成に可成の相違を生み出すことになるで
あろうと予測される。すなわち、道路を挟んで成立するコミュニティーと、道
路の内側で成立するコミュニティーの相違であるが、道路を挟んで成立するコ
ミュニティーの方が裏庭の作業を通じて巾広いコミュニティーが成立する可能
性が高いという点は皮肉なことである。これをアメ横的コミュニティーと名づ
けたい。

明治十五年土地利用図

現況土地利用図