◇板下町発表

発表者:渡邉昌美(わたなべ まさみ)/山田鈴子(やまだ れいこ)/高橋 岳志(たかはし がくし)

題名:歴史的なみちの整備に関する研究
日時: 平成11年2月6日
場所:会津板下町商工会館

−以下発表の原稿−

★ 1.フローチャート  近年、多くのまちにおいて、モータリゼーションの発達や高齢化社会を背景として、中心商店街の商業力が低下しています。さらに、住宅供給業者におけるハウスメーカーのシェア拡大にみられるように、全国的に類似のまち並みに変質しつつあり、その地域の固有性が損失していることから、まちの中心部での居住地としての資質の低下が問題として捉えられています。  
  そこで、本研究では、まちの成り立ちや現況を把握した上でそのまちの固有性を抽出し、そしてタウンウォッチングやワークショップを行い、整備対象地区の整備課題や整備手法を検討していきます。 また、都市計画道路整備に伴う中心市街地における通過交通の減少から、通りの一方通行の可能性も考慮し、ライバン通り及び北裏通りの具体的な整備計画、事業計画及び期間、規制・誘導手法、住民参加の時期や方法について検討していくことを目的とします。

2.まちの固有性の抽出 まち並みの保存,あるいはまち並みを生かしたまちづくりをしようとするとき,まず,そのまちの特徴と現状を把握することが必要です。
  そこで、会津坂下町の中心市街地である坂下地区を対象として、まち資料を基に1975年から1998年までの人口、世帯数及び人口密度や、住宅地図(1996年、1998年)を資料とした建物用途により、市街地現況と変化を把握しました。さらに、会津坂下町史や現地調査結果などから歴史的経緯を把握した上で、まちの固有性の抽出と整備対象地区の選定を行いました。

 
★  まず、1975年から1998年までの人口変化数及び変化率をみると、会津坂下町の全人口は934人、4.5%減少しています。地区別では、坂下地区のみ増加しており、若宮地区、広瀬地区で大幅に減少しています。この23年間での人口のピ−クは、1982年(昭和57年)の21121人であり、それ以降減少傾向にあります。年齢別に見ると、15〜29歳が大幅に減少し、65歳以上の高齢人口の伸び率も年々上昇しています。世帯数は、人口の減少とは逆に増加の一途をたどり591世帯、12.1%増加となっておりますが、地区別でみると世帯数が増加傾向にあるのは坂下地区609世帯(30.0%)、若宮地区23世帯(3.4%)のみになっています。一世帯当たりの人員を見ると、4.2人から3.6人に減少しています。1998年における人口密度は、会津坂下町全体では3.0人/ha、地区別でみると、坂下地区が28.7人/haと高く、そのほかの地区は1.0~2.8人/haになっています。


★  1985年から1990年までの高齢者親族がいる一般世帯数及び変化率を見ると、286世帯、12.2%増加しています。そのうち、高齢者単身世帯は70世帯、51.1%も増加しています。1990年では、高齢者親族がいる一般世帯数は会津坂下町全世帯数の51.8%と、高い値を示し、高齢者人口率でみると22.6%と、既に高齢化社会が形成されています。


★  次に、坂下地区の人口変化数及び変化率を見ると、391人、5.3%増加しています。町丁目別では、古坂下・小原をはじめとする9町丁目での減少がみられ、逆に茶屋町・新町をはじめとする5町丁目での増加が見られるといった地域差があらわれていま。

★  世帯数は、人口に比べて増加が大きく、坂下地区全体では609世帯、30.0%増加としており、核家族化が伺われます。町丁目別では、人口と同様に茶屋町・新町で大幅に増加しています。これらの人口・世帯数の推移は、会津坂下町全体とは異なっているといえます。


★  人口密度は、5段階に色分けを行いました。1975年における町丁目別でみると、熟成市街地80人/ha以上の町丁目はなく、D.I.D.の基準値40人/ha以上を示すものは中町をはじめとする、いずれもライバン通りと南北両裏通り沿いの7町丁目、30~40人/haを示すのは緑町の1町丁目になります。

  
★  次に、1998年における坂下地区全体で考えると1.2人/ha増加と低い値を示していますが、町丁目別で見るとD.I.D.の基準値40人/ha以上を示すものは、新たに緑町、新町を含めた5町丁目、30~40人/haを示すのは上町・本町・橋本の3町丁目と大幅な変化がみられます。


★  町丁目別人口密度の増減を5段階に色分けを行いました。水色は10人/ha以上の増加した茶屋町・新町の2町丁目、赤は10人/ha以上の減少した小原・中町をはじめとする5町丁目になっています。以上の人口、世帯数及び人口密度の全般的傾向として、ライバン通りに沿った町丁目が減少し、郊外の町丁目が増加する傾向が見られ、人口の拡散化が進行していることが理解できました。すなわち、モ−タリゼ−ションの進行に伴い発展している郊外住宅地と比較して、中心部での居住地としての資質が相対的に低下していることが伺われます。


★  次に、1996年の住宅地図上での建物用途構成比をみると、会津坂下町では住居系建物が全体の約70%であり、地区別でも、坂下地区以外の6地区は住居系建物が70%以上と高い値を示しています。一方、坂下地区は商業系建物が678件、約27%を示しています。これは、会津坂下町全体の商業系建物の約70%を占めていることになります。
★  次に、1996年から1998年までの坂下地区の建物用途構成比をみると、坂下地区全体の件数では86件(5.6%)増加しています。町丁目別では、住居系建物が10%以上増加を示しているのが8町丁目あることより世帯数増加に伴う住居系建物の増加が、坂下地区の建物増加に寄与していることがわかりました。一方、商業系建物が10%以上もの減少を示しているのが中町・小原をはじめとする中心部の4町丁目あります。このような中心部での機能低下が、中心部での人口減少をより助長していることが考えられます。


★  また、坂下地区における固有性を示す物的資源としては、まず住宅地図から寺・神社の分布をみると、坂下地区全体では14件あり、そのうちの7件が北裏通りに位置しています。さらに、その周辺には倉庫や住宅の一部として蔵が存在し、活用されています。まち割りは寛永2年(1625年)に実施された東西8丁24間(約920m)に5間(9m)の大道路をとり、南北両裏にあるみちとの間には3間巾(5.5m)に30間(54.5m)の屋敷割りが現存しています。その5間の大道路の中央に洗い場・防火用水としての用水堀がありましたが、現在は用水路が市街地を南北に貫通するかたちで残っています。建築物では、肥沃な土からとれる良質な米・大豆及びきれいな湧水から発展した酒造業や味噌醤油屋の老舗が現存しています。以上のことから、坂下地区の固有性の質と量を考慮して、整備対象地区としてライバン通りと北裏通りを選定しました。 (1間=1818o,1 町=109.1m) 3.ワークショップによる整備課題の検討

★フロー  ここでは、まちの固有性の抽出から選定した整備対象地区である、北裏通りとライバン通りについて,タウンウォッチングを手法としたワークショップを行い,整備課題について分析検討してみました。

★−★  タウンウォッチングの実施概要を簡単に話しますと、実施年月日は平成10年11月14日,参加人数は6人で、まず、3つのテーマ「A:歩いて楽しいみちをつくる」、「B:短冊型敷地を生かした住宅・店舗をつくる」、「C:寺・老舗を生かした歴史的まち並みをつくる」を設定し、整備目標をふまえ、テーマ別にチェック項目をもとに行いました。そして、同一日にワークショップによって整理分析をしました。 整備課題については,「よいところ」,「問題のあるところ」,「改善・整備すべきところ」としてワークショップで得られた意見について,4つの分析軸、具体的には@環境の種類,A環境への要求次元,B課題要素,C整備手法を分析軸としています。  @の環境の種類は、空間的広がりと意匠性に着目して設備・装置、空間、デザイン性、場所性、その他に分類しました。  次に、Aの環境への要求次元を分析することは,望ましい整備の優先順位を決定することに繋がります。すなわち、整備の緊急性としては,生存次元(安全性、健康性),生活次元(利便性),快適次元(快適性、審美性)の順に行われるべきだということになります。

★ また、居住環境の整備を進める場合にその問題を知ることも必要です。そのためには、居住環境をそれぞれの要素に分解し、守るべきものは何か、取り除くべきものは何か、活用しうる資源は何か、不足し付け加えるべきものは何か、といった課題を丹念に探り出すことが基本にあります。そこで、地区の物的空間が備えるべき課題要素を、住宅そのものの質、街区・相隣レベルでの空間の密度・配置、コミュニティ施設・ユーティリティや潤いを表現する景観・オープンスペースの5つに分解してとらえ、整備を進めていく主体が個人なのか地域なのか行政なのかを考えます。そして、その課題要素に対する整備手法として保全、除去、活用、付加、要請の5つに分解すると、この順で整備の優先順位が決まります。  以上のことから、はじめに環境への要求次元に着目し、それから課題要素と整備手法について分析をしました。  まず、北裏通りについてですが、はじめに、タウンウォッチングで気になったところの写真をいくつか提示します。 −北裏通り−

★ よいところ−1 これらは裏通りの風景で,干し柿やおばあちゃんの姿が坂下らしいと感じたものです。

★ 道路の狭幅員 車が一台通るのにぎりぎりで歩いていて怖いと思ったものです。

★ アイストップ−1  これは東の突き当たりにある曙酒造です。蔵や木の塀がいい雰囲気を出しています。

★ よいところ−2   これは格子や蔵ががきれいに残っている例です。

★ 問題のあるところ−1 これは看板や電柱・電線を排除した方がよいと思った点です。

★ 水路−1・水路−2・水路−3 これらは通りを歩いていてたくさんあると感じた水路で、これを生かせたらいいなぁと思いました。

★ 植栽 これは先ほど水路の写真にもありましたがこのように植栽を施すことで、ブロック塀では外との空間に閉鎖的になってしまうものが、プライバシーも守られ、通りに対してもとても柔らかいものになります。

★ 不適格の建物 これは蔵のとなりには適さないなと感じたものと、色彩を考えた方がよいと思ったものです。

★ 住宅の老朽化 こういうものはできるだけ修繕した方がよいと思います。

★ 蔵−1・社寺 これらは水路と同様に通りの特徴になるものと思います。 では、お配りした北裏通りの資料をご覧下さい。  全テーマから共通して解ることは,「よいところ」について審美性に関する意見が過半数を占めていることです。これは,まちの伝統的な空間やデザインに関するものが大半になっています。しかし,「問題のあるところ」では,審美性だけでなく快適性や健康性へと要求が拡散しています。そのことを反映して,環境の種類も設備・装置と空間に関するものが多くなっています。また,特にテーマAでは道路の狭幅員に伴う生存次元の安全性を求める意見が挙げられています。「改善・整備すべきところ」については「問題のあるところ」を反映した意見になっており要求次元も多様になっていて、中でも,利便性を要求する割合が増えていることが解ります。これは実際に歩いてみて,休憩したり,人々が集うポケットパークといったスペースの必要性を強く感じたことなどから出た意見です。  課題要素は,それぞれのテーマにより偏向していて,テーマA,テーマCは景観に関する意見が多くなっています。一方,テーマBは「よいところ」について,住宅に関する意見が65.0%で最も多くなっていますが,「問題のあるところ」及び「改善・整備すべきところ」については意見にばらつきがみられ,住宅そのものだけでなく要求が多岐に及んでいることが解ります。  整備手法は,全テーマにおいて,「よいところ」は「保全」と「活用」が主となっています。「問題のあるところ」は電柱・電線や看板などの「除去」,空地や空家及び老朽化した建物といった既存のストックの「活用」,植栽を増やすなどの「付加」といった手法が挙げられます。「改善・整備すべきところ」については,テーマAはたくさんある水路の「活用」,植栽や生け垣化の強化,ポケットパークを設けるなどの「付加」が考えられます。テーマBは不適格な建物の「除去」,既存住宅の修繕や空家住宅への対策などの「活用」,テーマCは蔵や社寺地の「活用」が必要です。 続いて、ライバン通りについてですがこちらもはじめに、タウンウォッチングの写真を提示したいと思います。 −ライバン通り−

★ アイストップ−2 これはライバン通りのアイストップである諏訪神社です。

★ アイストップ−3・アイストップ−4・アイストップ−5 これらはライバン通りを歩いていて、ふと北裏通りのほうを覗いたときにみられるものです。

★ 雪対策 これは雪国の特徴である設備・装置のひとつだと思いました。

★ 歩道 このようにがたがたですと危険だと感じました。

★ 蔵−2 これは上手に蔵を活用しているものです。

★ 看板・テント、電柱・電線 蔵を上手に活用していてもテントや看板で台無しになってしまいます。また、このようにライバン通りを見通したときにの雑然としています。

★ 蔵−3 これも蔵を残してはいますが、接合している外壁を統一させた方がよいと思います。 では、ライバン通りの資料をご覧下さい。  ライバン通りについても北裏通りと同じように環境への要求次元に着目しますと、全テーマに共通して「よいところ」については、まちの伝統的な空間やデザインの審美性に関する意見が過半数を超えています。他にテーマAについては、安全性,利便性に関する意見も多く,これらは歩行者空間等の雪対策においての設備・装置に関するものです。また、テーマBについても「ボイラーに雪除けの囲いがされている」といった雪国の特徴である設備・装置に関する意見が挙がっています。テーマCでは伝統的な敷地割りの空間的なことが挙げられています。しかし、「問題のあるところ」になると、テーマAでは利便性と快適性を中心に要求が拡散しています。そのことを反映してデザイン性に関する意見が最も少なくなり,設備・装置と空間に関するものが多くなっていることが解ります。特に、歩行者空間の安全性を求める意見が挙がっています。他に,「西風が強い」,「若い人を見かけない」など,まちの利便性を求める場所性についての意見も挙がっています。また、テーマBでは快適性や健康性へ、テーマCでも快適性,健康性,利便性に要求が拡散していて,環境の種類も設備・装置や空間に関する意見が増えています。「改善・整備すべきところ」については各テーマとも「問題のあるところ」を反映した意見になっています。テーマAとテーマCでは健康性、利便性、快適性に、テーマBでは利便性、快適性、審美性に要求が拡散しています。テーマAでは設備・装置に関することがほとんどで、唯一空間に関する遊び場的な場所、人が集まる場所を求める意見が挙がっています。テーマBでは「店舗の看板やテント」といった設備・装置に関するものが多くなっています。テーマAとCに共通している点として、「電柱・電線の整備」が挙げらています。  課題要素についても北裏通りと同様に,それぞれのテーマにより偏向しています。 テーマAとテーマCは全体的に景観に関する意見が多くみられますが,景観に影響を及ぼす住宅や道路に関する意見も挙がっています。テーマBでは、「よいところ」については住宅に関する意見が多く挙がっていますが,「問題のあるところ」及び「改善・整備すべきところ」については意見にばらつきがみられ,住宅を含んだかたちで要求が多岐に及んでいます。  整備手法は、全テーマにおいて、「よいところ」は伝統的な建物の「保全」と「活用」が主となっています。 「問題のあるところ」は、テーマAでは電柱・電線の「除去」,14日の市を人を集めるために「活用」する,植栽を増やすなどの「付加」といった手法が必要だと考えられます。テーマBでは店舗前のテントの「除去」,古い建物の「活用」,外壁の仕上げに統一感をもたせるための規則をつくるなどの「付加」、テーマCでは電柱・電線の「除去」,蔵の「活用」が挙げられます。またテーマBとCについては,昔のよい雰囲気が崩れてきていることに対して,短冊型敷地の「保全」や古い建物の「保全」が必要です。「改善・整備すべきところ」については、テーマAでは電柱・電線の「除去」や案内板やゴミ箱の設置などの「付加」といった手法が必要で、テーマBでは既存の建物の「保全」「除去」「活用」が必要であり、これからのための規則をつくるなど「付加」も必要です。テーマCではAと同じような「除去」や「活用」が必要の他、蔵の「保全」「活用」も必要と思われます。 以上で、ワークショップによる整備課題の検討についてを終わります。

★フロー 続きまして,都市計画道路整備及びそれに伴う中心市街地における通過交通の減少から、通りの一方通行の可能性について検討していきます。 4.都市計画道路整備についての検討  まちでは、ゆとりある住環境の形成を図り、良質な民間住宅の供給を促進することを目的として、8本の都市計画道路が事業の対象として決定しています。

★  これら都市計画道路の妥当性をみるために、都市計画図と1998年の住宅地図を照らし合わせると、都市計画道路の区域内となるものは318件あります。そのうち、建築物がひっかかるものが252件、敷地にひっかかるものが66件です。構成比でみると、商業系建物が40%以上にもなっています。

★ また、区域内にある廣木酒造本店・金山大猪俣商店・江花呉服店はまちを代表する歴史的建築物であり、ライバン通りの固有性の損失につながるため、維持保全をすべきものと考えています。すなわち、都市計画道路の位置の変更が望まれる箇所が一部存在していると言うことになります。

★  次に、都市計画道路が整備されることにより、中心市街地への通過交通が排除されることが予測されます。そこで、ライバン通り・両裏通りにおいて、住民優先のコミュニティ道路としての一方通行の可能性を検討してみました。
 はじめに、通りを南北にはしる大きな道路で4つのブロックA、B、C、Dに分けます。アイストップになっている諏訪神社を生かして考えると、Aブロックでライバン通りの一方通行の向きが西向きになります。それから、Bブロック、Cブロック、Dブロックの流れが交互になるように、検討しました。さらに、ライバン通りではコミュニティバスを走らせ、商店街での買い物等は、このバスを利用することを提案します。このコミュニティバスは、マイクロバス2台をシルバ−人材派遣の方が運行管理し、20分おき程度でライバン通りを往復するようにします。  
  来街者は、ライバン通りの東西に設ける拠点を駐車場として活用します。拠点は、資源・利便性を考慮し、諏訪神社の北側と御稷神社の西側につくり、両拠点には、コミュニティバス・路線バスのバスタ−ミナル、休憩所、座談室などを設置します。また、将来は各種コミュニティ施設や観光客向けの商業施設などの設置も考えられます。  
  ここで、拠点で必要な駐車場台数を検討します。 国土庁の平成2年、平成6年の交通センサスより、国道49号線の気多宮と福原または宮古、喜多方会津坂下線の青木と会津坂下高田線の新鶴村字新屋敷の2本の路線の通行台数の差から、この区間の軽自動車・乗用車の12時間当たりの通行台数を算出します。算出した台数の3割がライバン通りへの来街者と仮定すると、平成2年の平日昼間が826台・休日昼間が911台で、平成6年の平日昼間が524台・休日昼間が519台になります。平成2年から平成6年にかけての台数の大幅減少は、平成4年に開通した磐越自動車道の影響と考えられます。よって、平成6年の台数を基礎とすると、12時間当たり約550台と推定でき、これを1時間に換算すると約46台になります。さらに、ピ−ク時と将来の来街者増加を仮定して2.0倍にすると90台が必要になります。西の拠点・東の拠点では、会津若松市との位置関係から、西の拠点の方が利用者が多いことを考慮し、駐車場台数は西の拠点に60台、東の拠点に30台を設置するのが良いと思います。 
  以上で、都市計画道路整備についての検討を終わります。

★フロー 以上、ワークショップから検討した整備課題及び整備手法と都市計画道路整備に関する検討を基にして,より具体的な整備計画,事業計画及び期間,規制・誘導手法,住民参加の時期や方法などについて提案をしていくことになります。 5.ライバン通りについての提案 はじめに、ライバン通りについて提案をします。

★  まちのシンボルロードとして,人々にとって一番のコミュニティ空間になるようにライバン通りを整備していくことを目的とします。そのためには,人が行ってみようと思うソフトな仕掛けと快適で利便性の高い空間の創出といったハードな仕掛けが必要です。  ここでは,ハードな取り組みとして,魅力的なまち並み形成のための整備手法とその内容を提案したいと思います。  まず,既存の「よいもの」を発見し,その維持を図ります。具体的には,諏訪神社等のアイストップとなるものの維持,短冊型敷地の維持,老舗の老朽化防止があげられます。  次に,既存の「いやなもの」を指摘し,その除去をはかります。これは,交通規制による安全化として一方通行化や,看板広告のデザインの規制,電柱の地中化などです。  
  そして,既存のストックを見直し,十分の活用を図るとして,老朽化した建築物の修繕,空家住宅への対策,蔵を店舗などとして有効利用します。

★  さらに,以上をもってたりないものとしては,付け加えることが必要です。具体的には,買物客が便利で安全快適に買い物を楽しめるように,歩行者空間の整備として,雁木の設置や歩道の設置・拡幅,歩道舗装の高質化をすることです。また,車での買い物客に対して駐車場の整備も必要です。これについては先程,都市計画道路整備について検討した際に提案した拠点にあたります。  
  その他に,まち並み景観の形成に関わる建物には統一感が感じられなければいけません。そのためには,地域の独自性を反映したルールづくりが必要です。それは,建物の高さやファサード,屋根の形状,外壁や屋根・看板やテントの色彩や材料等の規制をすることで、 具体的には, 建物の高さは二階建てにする 屋根は切り妻にする 外壁や屋根の材料を統一する 外壁や屋根は落ち着いた色にする 看板やテントも派手な色や蛍光色,電光看板等は避ける といったことです。  
  このようなことをはじめに決めておき,建物を新築や改築,増築するときに、個人個人が守るようにすることがまち並みに統一感を与えることに繋がっていきます。

★  また,いま付いているテントを雁木に換えることを提案します。

★−★−★  雁木は,雪国のまち並みを特徴づけているもののひとつです。冬の積雪・降雪を防ぎ,地域の生活のみちを確保する,積雪地域には欠くことのできない役割をもっています。そこは,人と人とが集うちょっとしたコミュニティの場にもなります。  以上が、ライバン通りにおいての提案になります。

★ 6.北裏通り整備の提案  続いて,北裏通りの整備の提案を行います。  
  まず、整備を行う上での整備目的は、中心商店街に位置する通りを「歩いて楽しいみち」とするために、歴史的文化・資源に親しめる場であり、歩行者や住民が安全で快適な生活を過ごせる場でもあるように整備することにより、次の5つの効果を図っていくことを目的とします。まず、楽しさや快適さを創出し、居住地としての資質の向上・改善を図ります。2つ目としては、歴史的文化を掘り起こし、歴史的資源の保存・文化的雰囲気の醸造3つ目としては、緑や用水路等の水を中心とした美しく快適な環境創造への誘導を図ります。4つ目としては、住人に身近な装置を設置し、生活に密着した場をつくります。5つ目としては、環境に配慮した生活・行動のル−ルをつくるため、まちづくりへの参加を図ります。

★  これらの効果を図るための整備手法や内容は、次の16個を考えています。 
1.まちの雰囲気にあった色彩コントロ−ル、景観照明の統一を行う。  
3.外灯、電話ボックス、ゴミ箱などのストリ−トファニチァ−のデザインをまちの雰囲気にあったもので統一する。  
5.ブロック塀の生け垣化を図る。 
6.舗装の素材やデザインの工夫をする。 
7.みち沿いにたまり場や憩いの場をつくる。 
8.歩行者の安全を確保する。
9.水路を整備・活用し、親水空間を形成する。 
12.歴史・文化を公開する拠点施設を形成する。  
14.解説・案内板などを設置する。
15.住民の手による路上や水路の清掃活動を推進する。 

★  以上のことは、大きくは物理的条件といったハ−ドと社会・経済的条件といったソフトに分けられます。さらに、ハ−ドは環境への要求次元で5つに分類できます。整備を進めていく主体としては、個人、地域、行政と考えています。ワ−クショップの結果から考えますと、利便性・安全性に関することを優先的に整備を行う必要があります。

★ いくつかの整備手法・内容に関するイメ−ジを示していきます。まずは、歩車共存道路において歩行者の安全を確保するみちとするために、先程述べたように一方通行規制を行います。さらに、車のスピ−ドを抑制するため、車が適当な感覚で曲線を描いて走るように工夫が必要です。写真のように電柱の設置個所に併せて緑地帯を設けると良いのでわないかと考えています。

★ また、アイストップになっている寺へのみちも写真のように御影石などで舗装することで、北裏通りに人を呼び込めるのではないかと考えています。 ★ 環境水準を高めることとしては、用水路を水で潤し、蓋のされている箇所はプランタ−を設置、ブロック塀は撤去し、生け垣等に変更するということで、自然にふれあえる空間づくりをしていきます。

★ ゴミ箱、ゴミ置き場を設置し、ゴミの落ちていないきれいなまちにする。ゴミ箱は、地場産材である会津杉を使用し、写真にあるような木製のもので統一します。さらに、住民の清掃活動により、きれいで快適空間を維持していくことでまちへの愛着を持ち、まちを大切にしようという意識を高めることが出来ます。

★ 最後に、歩行者や住民の憩いの場であり、やすらぎを与えてくれる場としてポケットパ−クを設置があげられます。設置個所としては、歴史的文化や資源に親しめる区域となる、4箇所あげてみました。まずは、定林寺の東側です。この箇所は、ライバン通りからのアイストップにもなります。2つ目は、日月神社の入り口位置する所です。3つ目は、水車のある水路の東側で、併せて上町自治会館を移転し整備すると言うこともあげられます。4つ目は、駐車場として利用されているところです。

★ 各箇所に環境や歴史に関する解説・案内板を設置することで、まちを巡り歩くきっかけづくりをしていきます。さらに、ベンチ、トイレ、情報ボ−ド、水飲み場などデザインされたものを設置、植栽による緑化をし、住民が手入れをするついでにみち沿いもプランタ−による緑化をしていくように誘導していきます。  以上で、北裏通りの提案を終わります。

★フロ−  以上で、現段階までの研究内容の発表を終わります。 今回は,おおまかな整備案までですが,これらを実現させるためには,より具体的な整備計画,事業計画及び期間,規制・誘導手法,住民参加の時期や方法を検討していくことが必要です。

−以上発表の原稿より−


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