この実験では,柱や骨組の座屈現象を観察する。そして,座屈問題を扱う上で重要なパラメータの1つである座屈長さを取り上げ,有効座屈長さのとり方や座屈荷重との関係などを理解することを目的とする。また,座屈長さと荷重の関係のグラフを用いて実験で得られた値と理論値を比較する。
長さ50cm,厚さ2mmのスチレンボードを1cmごとに短くしていき,部材が座屈するまで両端ピン,両端固定の条件で圧縮力を作用させ,その時点の荷重を測定する。
座屈長さと荷重の値を両端ピン,両端固定としてそれぞれ表にした。EIは,オイラー式を変換して平均値を求め,この値を用いて座屈荷重の理論値を求め,表にした。また,実験で得られた値と理論値を比較するために,座屈長さと荷重の関係のグラフを作成した。
オイラー式は次の式で表される。
ここに、Pcr:座屈荷重の理論値
EI :座屈方向の曲げ剛性
Lk :有効座屈長さ
表1.1 両端ピン 表1.2 両端固定
図1.1 座屈長さと荷重の関係(両端ピン)
図1.2 座屈長さと荷重の関係(両端固定)
座屈長さの同じところの数値を読み取り,ピンの荷重を固定の荷重で除した値をk2とし,k2の√をとったものをkとして,表3に示す。
表1.3 座屈長さ係数一覧
座屈長さ |
ピン/固定(k) |
ピン/固定(k2) |
46.0 |
0.71 |
0.50 |
45.0 |
0.71 |
0.50 |
44.0 |
0.71 |
0.50 |
43.0 |
0.71 |
0.50 |
42.0 |
0.68 |
0.47 |
41.0 |
0.71 |
0.50 |
40.0 |
0.71 |
0.50 |
39.0 |
0.69 |
0.47 |
38.0 |
0.69 |
0.47 |
37.0 |
0.65 |
0.42 |
36.0 |
0.65 |
0.43 |
35.0 |
0.63 |
0.39 |
34.0 |
0.61 |
0.37 |
33.0 |
0.60 |
0.36 |
32.0 |
0.61 |
0.37 |
31.0 |
0.61 |
0.38 |
30.0 |
0.60 |
0.36 |
29.0 |
0.63 |
0.39 |
28.0 |
0.65 |
0.42 |
27.0 |
0.62 |
0.38 |
26.0 |
0.61 |
0.37 |
25.0 |
0.61 |
0.38 |
24.0 |
0.60 |
0.36 |
23.0 |
0.63 |
0.39 |
22.0 |
0.62 |
0.38 |
21.0 |
0.62 |
0.39 |
20.0 |
0.62 |
0.39 |
19.0 |
0.61 |
0.37 |
18.0 |
0.61 |
0.37 |
17.0 |
0.64 |
0.41 |
16.0 |
0.64 |
0.41 |
15.0 |
0.64 |
0.41 |
平均値 |
0.64 |
0.42 |
(1)有効座屈長さと座屈荷重の関係
座屈荷重の理論値は,オイラーの公式を用いて求めた。柱の座屈荷重は、オイラー式より有効座屈長さの2乗に反比例する事が分かった。また,有効座屈長さが短いほど,座屈荷重が大きくなっている。
(2)この実験では,オイラー式で求めた理論値の曲線と実験で求めた値の曲線がほぼ重なり,荷重と座屈長さの関係を実験を通して理 解する事ができた。